国際社会学部の授業は日々進化しています――協働的授業研究(Collaborative Lesson Research)紹介
大学の授業はいま大きく変化しています。座ってノートをとることが中心だった1990年代に大学生活を送った方にとっては面食らうほどです。アクティブ・ラーニングやグループワークは、どの大学でもすでに当たり前のこととなっていますし、ネットの活用も盛んです。これはCOVID-19以降、大きく加速しています。東洋英和女学院大学は、教員研修(FD)やオンデマンド授業講習会など、教員の授業を改善するための努力を日々続けています。そのような「公式FD」の説明は他にお任せするとして、ここでは国際社会学部の一部教員の「サークル活動」的な試みである「協働的授業研究(Collaborative Lesson Research)」をご紹介します。
![]() |
平体先生、アンダーウッド先生、コウオジェイ先生 |
「学生の学びのモチベーションを上げるにはどうしたらよいのか。」
「アクティブ・ラーニングで学んだ実感を持ってもらえるようにするには、どのような工夫をしたらよいのか。」
教員は自分の教え方をふり返りつつ、どうやったらより効果的な授業ができるのかを考えています。協働的授業研究は、個々の教員が感じている問題をグループで検討し、新しい試みを提案し、その効果を皆で検証するものです。高校などの現場では「研究授業」として行われているものですが、異なっている部分もあります。最も特徴的なのは、年長教員が経験の浅い教員の授業を指導するのではなく、参加教員すべてが対等に協力し合うという点です。
2019年度の協働的授業研究で取り上げたのは「多文化社会論」です。多文化社会といえばアメリカやカナダをすぐ思い浮かべますが、この授業では日本にもアイヌなど少数民族が住んでいることや、在留外国人が増加していることに目を向け、日本における多文化共生のありかたについて考えることを中心としていました。
教歴20年を超えるベテラン教員が担当するこの「多文化社会論」は、講義以外にカフート(ネットでの学生参加型クイズゲーム)を効果的に利用しているという特徴がありました。しかし学生同士の議論は今一つ手ごたえがありませんでした。講義はまとまった知識を伝達するのに効果的ではありますが、それでは学生は「わかった気がした」で終わることがほとんどです。獲得した知識を使ってみる、という実践部分を充実させないことには、理解が広がりません。そこで協働的授業研究では、ベテラン教員(平体)に対して、専門分野も教歴も育った国も異なる教員3名(アンダーウッド、コウオジェイ、河野)が、グループワークの工夫の仕方について、様々な角度から提案を行いました。それらの提案を整理し行われた研究授業では、学生同士の議論が活発化しました。もちろん、全ての学生が積極的に参加したわけではありません。戸惑っている学生、最後まで発言しなかった学生も存在しました。学生の様子は見学教員が逐一記録し、うまくいった方法、学生の反応が今一つだった方法、ベテラン教員が扱いきれなかった方法など、それぞれについて「どうやったらもっと学生の学びを充実させられるのか」の検討が行われました。
![]() |
CRLミーティング後、アンダーウッド先生、コウオジェイ先生、河野先生 |
コメント
コメントを投稿