教員免許状+TESOL=英語教育の専門家――北村望さん(2018年度卒業生)

東洋英和といえば英語、とイメージする人は多いと思います。NHK「連続テレビ小説」として放映された「花子とアン」の印象が強いからでしょう。現代の英和生にも、村岡花子さんのように奨学金を給費されて英語力に磨きをかけている人がいます。今回ご紹介する北村望さんは、卒業時に「長野賞」*を受賞し、スターリング大学(英国)へ留学。無事修士号を取得し、現在は男子校で英語科教員をしています。そんな北村さんに、英語漬けだった学生生活について語って頂きました。

「長野賞」を受賞した卒業式の記念写真

 

【今回のゲスト】

氏名:北村 望(キタムラ ノゾミ)さん

卒業した学科:国際コミュニケーション学科

卒業年月:20193

卒業時のゼミ:パトリシア・スイッペルゼミ

在学時の課外活動:ダンス部

現在の勤務先:佼成学園中学校・高等学校 英語科 非常勤講師

 

――まず、英語教授法の修士号おめでとうございます!英語教授法で定評のある、スコットランドのスターリング大学(The University of Stirlingで取得されたそうですね。海外の大学院留学はいかがでしたか?


ありがとうございます。留学中に新型コロナウィルス感染拡大となり、大学が入構禁止になりました。図書館も利用できなくなってしまったので、リサーチが十分にできるか不安でしたが、無事Master of science in Teaching English to Speakers of Other Languages (MSc TESOL)を取得することができました。


                                        スターリング大学のWelcome Weekにて
                                        同大マスコット・キャラクターと記念撮影
                                                        (左が北村さん)


――北村さんが修められたTESOLとは何ですか?

 

TESOLとは、Teaching English to Speakers of Other Languagesの略で、英語を母語としない学習者に英語を教えるための教授法です。


――TESOLのために大学院へ進学したのですか?


大学院進学を決意したのは、英和での授業が面白かったのと、教育実習中にモヤモヤしたことがあり、それをクリアにしたかったからです。もっと勉強したいというのが前提としてありました。ただ教職もとっていましたし、文系大学院を修了した後の就職のことを考えると、英語教育に関する専門がいい、どうせ行くなら海外がいいと、いろいろな人に相談しながら絞っていきました。最終的には、教職課程担当の笹島茂先生の後押しもあり、スターリング大学へ出願します。笹島先生がいなかったら、合格できていなかったと思います。


――スターリング大学は笹島先生の母校ですよね。同大学の環境はいかがでしたか?


スターリング大学は英国の中では比較的新しい大学で、規模もそれほど大きくありません。そしてキャンパスが広大で美しい点も、どこか英和に似ていると思いました。自分には小規模校が合っているのではないかと思います。



                                 
スターリング大学でのグループ・プレゼンテーション


――海外留学は英国が初めてですか?

いえ、大学2年生の後期に英和のプログラムで、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(The University of British Columbiaの語学学校にも留学しています。そこが人生のターニングポイントといってよいでしょう。まず期間が4か月間だったので、限られた時間で成果を出そうと決めて渡航しました。学内がEnglish onlyだったこともあり、日本人の友人とも英語で話していたほどです。

 

カナダでの語学留学中、台湾からの学生と記念撮影(右が北村さん)

 

――日本人とも英会話!それはなかなかできないですね。帰国してからはいかがでしたか?


せっかく身についた英語力を落としたくないと思いました。でも、そのために別途お金を払って英語を勉強するのは嫌だったので、英語を使う科目を意識的に履修し、日常的に英語を使う環境に自分を追い込みました。国際社会学部には英語で受講できる科目があります。私は大学3年次に望月克哉先生の「Topics in International Affairs A」と河野毅先生の「Global issues B」を履修しています。またパトリシア・スイッペル先生(現在は退職されて名誉教授)のゼミを選び、ネイティブの先生と話す機会を増やしました。

帰国後は英語以外でも変化がありました。授業中、積極的に挙手して発言するようになったのです。また、授業後に教室に残って先生方に質問したり、自分の意見を伝えて、ディスカッションしたりする機会も増えました。そして同じクラスに友人がいても、ひとりで前方の席に座って受講するようになりました。留学前よりも更に熱心に授業を受けるようになったら、自然と「居心地がいい」と感じるようになったことを覚えています。大学内に自分の居場所ができ、学習意欲も益々上がりました。


――留学から帰ってきたら浦島太郎ではなく、大学に居場所を見つけるとは、なんだか不思議ですね。居心地がよくなった要因は何か、考えられますか?


居心地というのとは少し違うかもしれませんが、3年次から選ばれた「かえで給費奨学金」*と、学外の守谷育英会奨学金を頂けたことは、これまでの努力が認められ、評価されたと感じました。いずれも返還不要の奨学金です。これは大きな励みとなり、自信にも繋がっています。

私は一般入試で入学したので、スカラシップ入試ではありません。それゆえ入学時は奨学金がありませんでした。しかし、首席で卒業するつもりで1年生前期から勉学に励みました。


――そして卒業式には長野賞受賞ですか。すごいですね。目指したからといってとれるものではありません。現在はどんな目標をもっていますか?


東京都の教員採用試験に合格し、来年度から公務員として公立の中学校か高校で英語を教えることです。4年次に行った教育実習で明らかにならなかったことが未だに解明できていないので、研究と現場での実践を往還しながら、今後も精進していきたいと思います。


――最後に、後輩へメッセージをどうぞ。


私は「英語ができるようになりたい」、「長期留学したい」と思って英和に入りました。なりたい、やりたいと思っていたことを叶えて、英語の先生になることができました。皆さんも自分を信じて、色々なことに挑戦してください。大学4年間で得た経験が糧となり、必ずあなたを支えてくれます。


――北村さん、お忙しい中ありがとうございました。


10月22日(金)、令和3年度東京都公立学校教員採用候補者選考(4年度採用)の最終合格発表がありました。北村さんは見事合格!!またひとつ目標を達成し、新しい世界へ羽ばたいていきます。

 

* 長野賞:卒業生の中でも特に人物に優れ、優秀な成績を収めた学生に授与される賞

* かえで給費奨学金3年次で採用され、4年次でも継続されます。12年次の成績優秀者で、人物的に優れ、学内の課外活動などに積極的に参加している学生を対象に選考します。採用されると年額24万円が支給されます。返還は不要です。

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北村さんのUBC留学時代のレポートはこちら

 

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