主体的に学び、自らの物差しを持って!――冨樫あゆみ講師

 

 今日は国際社会学科の冨樫あゆみ先生にお話を伺います。冨樫先生は、韓国・朝鮮半島の政治がご専門です。今、日本の若者に絶大な人気がある、韓国とはどんな国なのでしょうか。お話を伺うのが楽しみです! 

――先生と韓国・朝鮮との出会いは、どのようなことがきっかけだったのでしょうか? 

 実は、韓国ドラマなんですよね〜 大学では法学部に進み、将来は法曹界に進みたかったので、今の専門とは少し違うのですが、大学2年の時に韓国ドラマにハマりまして・・・夏休みを利用して韓国に友人と旅行に行ったんです。その時の旅行でさらに深く韓国を知りたいという気持ちに火がつき、韓国で暮らしてみたい、韓国で暮らすにはどうしたらいいのだろうと、とにかく自分の興味関心を満足させるための策を練りました(笑)

 

――それで、その作戦は成功したのですね。具体的にはどんな作戦だったのですか? 

 両親が厳しかったので、大学は4年で卒業することは必須でした。なので、必死に3年次までに卒業に必要な全ての単位を取得し、韓国の交換留学制度に応募し、大学4年次に1年間韓国への交換留学を果たしました。 

――すごい行動力ですね。3年次までに卒業に必要な単位を全て取るのも大変でしょうし、韓国への交換留学制度に合格するのも大変だったと思いますが・・・ 

 その頃はまだ、韓国に留学したいと考える学生もそれほど多くなかったので、今ほど競争率は高くありませんでした。でもその交換留学の経験から、法律家になるという目標が、政治学への興味に変わり、政治を通して国際社会を理解したいと考えるようになりました。 

――大学卒業後、イギリスの大学院に進学されていますが、イギリスでは政治学を専攻されたのですか? 

 イギリスでは、韓国の政治体制の変容を国際社会からの影響という視点から分析し、修士課程を修めました。その後、イギリスに残ってPh.D. という選択肢もあったのですが、韓国のことを研究するには、韓国で学ぶべきなのではないかと思い、一度日本に帰国し、韓国に留学する準備をしました。 

――それで名門ソウル大学へ留学し、Ph.D. を修められたのですね。本当にグローバルに学んでいらっしゃったわけですが、今の韓国と日本の関係についてどのような思いがありますか? 

 韓国ではというか、韓国の人たちは、日本の政治(政府)と日本の国民に対する評価をきちんと分けて考えています。一方で、日本では韓国への評価が、抽象的で、好きか嫌いかという二項対立になっていることを残念に思います。もっと、冷静に論理的に理解する必要を感じています。 

――話は少し変わりますが、先生は授業を行ううえで、どのようなことを大切にしていらっしゃいますか? 

 私の授業は厳しいのですよ。というのも、私は、学生にもっと勉強して欲しいと思っているのです。その意味は、もっと主体的に自分の力で試行錯誤しながら新しい知見を手に入れて欲しいのです。人から与えられたものの見方ではなく、自分の物差しを持つために新しい知識を得て、その知識を自らが理解し評価したうえで、自分の評価の基軸を持って欲しいと思っています。そのためにたくさん勉強して欲しいんです。 

――本当にそうですね。メディアや他の権威者が言っていたからではなく、自分で判断し、評価する目を持って欲しいですね。ところで、英和の大学の良さはどんなところにあると思いますか? 

 教員と学生の距離が近いということなのですが、教員がひとりひとりの学生の状況を把握しているところ、つまり目配せがされていることが良いところと言えると思います。 

――英和の学生の良いところはどんなところですか? 

 英和には、自分の興味関心に対して深く探究できる学生が多くいると思います。私のゼミ生は韓国・朝鮮半島に興味ある学生ですが、自分の興味関心に真摯に向き合い学ぶ姿勢はとても良いと思いますね。 

――先生は学生時代、どんな学生さんでしたか? 

 学生にもっと勉強して欲しいと言ったのに、あまり言いたくないのですが、勉強ばかりというよりは、遊びも真剣にやっていました。特に私の場合は旅行ですが、バイトをしてお金を稼ぐと友人と海外に飛び出していました。大学時代に友人とベトナムにバックパッカーとして行ったこともありますが、旅行というより「旅」という感じで、自分の目で国際社会を見るという楽しさを満喫しました。
 
――先生はプライベートではどんな方なのでしょうか? 

 オンとオフがはっきりしていますが、今は10ヶ月になる娘のことが第一優先ですし、彼女との時間が楽しくもあり、忙しくもあり、疲れを癒す時間でもあり、すべてすね。 

――お仕事と育児の両立は大変ではないですか? 

 私の場合は、夫が協力的で助かってます。正に夫婦の協働作業で娘の成長を見守っている感じです。 

――ご夫妻で協力して娘さんに関われるのは、娘さんとしてもとても幸せなことですね。また話が大学のことに戻りますが、これからどんな授業をしていきたいですか? 

 先ほども申し上げた通り、学生にもっと主体的に勉強して欲しいので、私は彼女たちが集中して学びたいことを見つけるためのナビゲーター役でありたいと思っています。そのためにかなり厳しいことも求めます。 

――これから大学生になる人たちにアドバイスをお願いします。 

 一つの興味の先には、限りない可能性があることを知ったうえで、学んで欲しいです。例えば、私の専門の韓国に興味を持つと、その先には、韓国・朝鮮の文化、歴史、政治だけでなく、若者、暮らし、言語、映画、文学など、数限りないコンテンツがあり、それぞれが有機的に繋がっていること、そして相互作用していることが理解できると思います。そうした総合的な理解を得て、また新たな事象について見ると視野が広がりますし、自分の進む方向性への選択肢も広がると思います。 

 冨樫先生のお話を伺って、まずは自分が興味のあることを主体的に探究することが次の扉を開ける鍵であることが分かりました。学生には、与えられた知識に満足せず、自ら新しい知見を見つけるための「学問への旅」をして欲しいと感じたインタビューでした。

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