授業ノート(Vol.2)キリスト教概論2:聖書に隠された「名前が変わる」不思議を読み解こう!

国際社会学部の多様な授業を紹介する連載、「国際社会学部授業ノート」

第二回目は、英和のキリスト教教育を知っていただこう!ということで「キリスト教概論2」をご紹介します。





授業の基本情報

科目名:キリスト教概論2

担当教員:堀川敏寛先生

対象学年:2年生以上



【どんな授業なの?】

キリスト教概論2では、グリム童話『ラプンツェル』『ヘンゼルとグレーテル』や、漫画『火の鳥』など、私たちにとって日常的な題材が、実はキリスト教の正典『聖書』のアイデアと類似していることを紹介しています。

例として、『千と千尋の神隠し』にみられるキリスト教の考えかたをここで紹介します。
この物語では、千尋が神隠しにあい、神々の世界へいくと、そこで千という名を授けられます。タイトルのとおり、異なる世界へ往き来するときに、名前が千尋から千へと変化したのです。すると千尋は今までとは違う、意志の強い自己をもって活き活きと仕事に励むようになりました。

このように名前が変わることは、武士の元服や昇進のとき、仏教の戒名など、日本で見られる風習です。

この名づけや名前の変化は、キリスト教の正典である聖書にもみられます。聖書の登場人物の名前は、誕生するときに起こった出来事にちなんで名づけられているのです。
『創世記』「ヤコブ物語」では、双子の弟ヤコブが、母胎から誕生するとき、兄のかかと(ヘブライ語でアケブといいます)をつかんで出てきたことから、人の足を引っ張る意味をもつヤコブという名が与えられたのです。出生後のヤコブは、その名のとおり、兄をだまし、叔父からだまされ、逃げて追われての人生を送ることになりました。

ところがある真夜中、川のほとりで、突如、神の使いである天使がヤコブに襲いかかり、二人は相撲をとります。夜明けになっても勝負がつかないため、天使が去ろうとしましたが、ヤコブは「自らを祝福するまで放さない」と主張します。その瞬間、天使は「あなたの名は、もはやヤコブではなく、イスラエルと呼ばれよう」と、名前の変更を告げるのです。
すなわちヤコブはここではじめて、今までの生きかたをやめ、真摯に神へと向き合ったので、自分の魂が救われたと感じることができたのです。

このように名前の変化とは、今から二千年以上も前に聖書のなかで描かれていた、過去の自分との決別新たな世界に進み出るときの生まれ変わりを意味しているのです。






堀川先生からのメッセージ
ここでキリスト教の正典である聖書から、イエス・キリストが説いた教えをひとつ紹介します。
たとえば自分の財布に1万円、友達の財布には5万円入っていたとします。それを「なんで自分の方は少ないのだろう」と捉えるのではなく、「自分には1万円も与えられているのではないか」、それに手をつけないのではなく、それを使うことによって、倍の価値を楽しもう、とイエスは「タラントンのたとえ」で言っています。
日常のなかでは、他人と比較して自分をみることもあるでしょう。ただキリスト教は、一人一人にはそれぞれ違った良さや欠点が与えられている、と説いています。これからの人生で、自分だけに与えられているものを、ぜひ見つけてください。大学とは、それをサポートする場所なのです。


聖書って、なんだか少し遠いもののように感じていたけど、
大好きなジブリ作品にも聖書と共通するアイデアが登場していたなんて驚き!
先生が身近な物語と関連付けて解説してくださるから、
とっても楽しく聖書のことが学べる授業だなあ。




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