誰かのために まず私から始めましょう――片山友理香さん(2020年度卒業生)

本学では、「誰かのために まず私から始めましょう」*という英和スピリッツを体現した英和生が活躍しています。英和での学生生活でも、社会に出てからも、その精神が生きています。今回はそのロールモデルともいえる、片山友理香(カタヤマユリカ)さんをご紹介します。片山さんの人生のターニングポイントは、大学2年生の時に訪れたそうです。何があったのでしょうか?

                            卒業式当日にラーニングコモンズにて(左が片山さん)                      

 

【今回のゲスト】

氏名:片山友理香(カタヤマユリカ)さん

卒業した学科:国際社会学科

卒業年月:20213

卒業時のゼミ:河野毅ゼミ

在学時の課外活動:LCコンシェルジュ、コーヒープロジェクト、マイプラ、etc.

 

――英和で人生が変わったと仰っていましたが、どういうことですか?

 

英和が私を変えてくれたんです。自分のことを好きになれたし、自信がついて自己肯定感が高まりました。英和に入学してなかったら、今の自分はないと思います。

 

――何があったのですか?

 

大学2年生の終わりに人生の転機が訪れました(笑)。LCコンシェルジュとして、入学前教育のワークショップを任されたんです。その経験を機に、自分が変わったと思います。

 

――以前はどんな学生だったのですか?

 

元々は人前で話すなんてとんでもなくて、フレッシュマンセミナー1年次のゼミ)の授業内で発表するのも苦手でした。たかだか十数人の前で、しかもグループで発表するのでさえ、恥ずかしくて顔を真っ赤にしていました。だから大勢の人の前で何かをすることになるなんて、夢にも思ってなかったんです。

 

――え、今の片山さんからは想像できませんね。そのきっかけになったLCコンシェルジュについて教えてください。

 

英和にラーニングコモンズができることになって、その準備段階からLCコンシェルジュという学生スタッフの募集がありました。当時私は1年生の終わり頃で、コンシェルジュという言葉の意味もわからないまま、軽い気持ちで応募したんです。最初はラーニングコモンズの家具選びだったので、それで役目を果たしたかと思ってました(笑)。ところが、実際は学生と職員の間ともいうような存在で、学生を支援する役割だったんです。

 

――なんだかよくわからないものに飛び込んでみる勇気は大切ですよね(笑)。転機となったワークショップについても詳しく教えてください。

 

入学予定者向けのワークショップの企画、当日の運営を依頼されました。考えに考えた末、学内のコンビニエンスストアで販売してほしい焼きたてパンを考案してもらうことにしました。「あったらいいな こんなパン」と題し、高校生同士がグループで話し合い、1グループでひとつの案を提案してもらうんです。

200人の前で話すのは人生初です。非常に緊張していたのですが、「自分も楽しめば、高校生も楽しいはず」と思うようにしました。そうしたら、終了後、先生方から「教員がやるより上手だ」と褒められたんです。

 

――その経験をきっかけに、その後どう変わったのですか?

 

まず、LCコンシェルジュのリーダーに立候補しました。昔からリーダーをやってみたいという気持ちはあったのですが、自分には無理だと思い、やらずにきました。それまでの私は「また機会があったら・・・」と、チャンスを逃している人間だったんです。でも勇気を出して行動に移してみると、想像以上になんてことなかったです(笑)。

 

――それで、リーダーを務めたのですね。リーダーとなってからの、3年生以降はいかがでしたか?

 

LCコンシェルジュだけでなく、2年生必修科目「キャリア設計Ⅱ」のSAStudent Assistantにも志願しました。3学科の必修科目なので、数百人の学生が一堂に会すこともあるのですが、そこでも大教室の壇上からマイクを使って下級生に指示を出したりしました。SAも学生と先生との間という存在なのですが、自分が担当しているクラスに愛着が沸いてしまい、「私のクラス、私の学生」と言っていたくらいです(笑)。SAは天職だと思ってやっていました。

それから「マイプラ」という新しいプロジェクトも立ち上げました。環境問題を考えるきっかけとして、学内のコンビニエンスストアでレジ袋をもらわないためのキャンペーンです。ちょうど翌年からレジ袋有料化が決まっていたので、その意識づけのためにも、まずは学内から変えていこうと始めました。たった2名で始めた活動なのですが、啓発ポスターを書いてくれたり、数取器カウンターを使った計測に協力してくれたりする英和生もいました。「まず私から始める」ことが大切なんだと痛感したプロジェクトです。

 

                                  他大学のラーニングコモンズ視察時の記念写真


 ――片山さんは学生とは思えない活躍ぶりですが、それらの経験から何を学びましたか?


主体的に動く。誰かがやってくれるのを待つのではなく、自ら考えて行動する。そういう姿勢・態度を身につけられたと思います。誰かにやらされている、いわゆる受動的な行動よりも、自ら選択した能動的な行動の方が、責任が重い分、達成感や楽しさが増します。行動に移すことは、周りの人に影響を与えるだけではなく、自分自身の成長に繋がると思います。

でも、その一歩を踏み出すのが難しく、怖いですよね。失敗は誰だって怖いけれど、失敗は悪いことばかりではありません。むしろ、成功するよりも失敗した方が学べること、得られることが多いかもしれません。挑戦して躓いて、でも粘り強くやり遂げて、困難を乗り越えられた人にしか見られない景色があります。私はその景色(達成感)を一回見てから、自分自身が変われて、強くなった気がします。実行に移した人とそうでない人とでは、待っている未来が違うと思います。

 

――片山さんは英和生のロールモデルですね。そんな片山さんが英和でやり残したことは何ですか?

 

ないです!英和での4年間は本当に幸せでした。「自分にもこんなことができるんだ!」と新しい自分を発見することができました。リーダーも意外と向いてましたし、何でもやってみないとわからないですね。

今から振り返って思うのは、まさに「誰かのために まず私から始めましょう」の精神で、新しいことに挑戦し続けた学生生活だったなということです。私は「誰か」という存在が明確であればあるほど、求められている以上のことをしようと燃えるんです。自分ひとりのためだったらここまで頑張れないです。私は人に助けられて生きているし、私も誰かを助けていると思いたいです。

 

――最後に、後輩へ伝えたいことはありますか?

 

誰かがやってくれるのを待つのではなく、常に「私に何ができるか」を考えてほしいです。そして「誰かのため」にやったことが、自分のためにもなります。「誰かのため」というのは、見返りを求めることではありませんが、結果として私は成長したし、そんな自分を好きになることができました。かけがえのない大切な4年間を楽しんでください。

 

片山さんが語っていたエピソードで印象的だったのが、卒業式の会場に椅子が並んでいるのを見た瞬間、「この椅子は職員さんたちが私たちのために並べてくれたんだ」と思い、涙が出たというお話です。普通はそこまで考えが及ばないと思います。LCコンシェルジュSAをやって良かったことは、「教職員とここまで近い学生はいない」という自負だそうです。そういう学生をひとりでも多く輩出していきたいと思ったインタビューでした。

 

片山さんがコーヒープロジェクトの代表を務めていた際に、メディアに採り上げられた記事はこちら

現在のコーヒープロジェクトについての記事はこちら

*東洋英和女学院 建学の精神についてはこちら


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