模倣から始まり、自分を表現する手段へ――国際コミュニケーション学科4年 柳明里さん

皆さんは何のために英語を学んでいますか?受験科目だからという人もいるでしょう。検定試験のためという人もいるでしょう。外国人の友達が欲しいからという人もいるでしょう。学ぶ理由は様々です。今回ご紹介する柳明里(ヤナギ アカリ)さんは、自分を表現する手段として、英語力を磨き、伝えたいメッセージをそこに載せていきます。そして此度、10回城西大学英語スピーチコンテストで最優秀賞を受賞。さらに本学における2021年度学長賞も受賞。喜びの声とともに、柳さんの英語への向き合い方についてフォーカスします。


アドバイザーの福田保先生ととともに
2022年4月4日入学式(学長賞授与)後に撮影



英語でのスピーチを一部披露
(上記の再生ボタンをタップorクリックすると、動画がスタート)

――英語スピーチコンテスト最優秀賞、おめでとうございます!まず、応募動機を教えて頂けますか?

 

ありがとうございます。まず、自分の英語力を客観的に評価してほしい、できれば賞がほしいというのがありました。そして伝えたいメッセージがあるので、それを発信する機会として捉えていました。応募動機としては、前者と後者が半々です。

 

――英語力といっても、そのスキルを測る指標は様々ですよね。メッセージを伝えるにしても、文章で書くということも可能です。どうしてスピーチコンテストを選んだのですか?

 

英語を書いているだけでは、それはテキストのみの言語コミュニケーションですよね。また、多くの学生はTOEICを受検すると思うのですが、それはその時にしか発揮できなかった力だと私は思っています。私が評価してほしい英語力は数値化できないんです。でも、それでは自分の英語力を可視化できない。だから今まで蓄積してきた英語力を評価してもらえるのは、スピーチコンテストだと考えました。

 

――熟慮した上での応募だったんですね。でも同様のコンテストがたくさんある中、城西大学のコンテストを選んだのはなぜですか?

 

英語のスピーチコンテストはいろいろあるのですが、城西大学主催の同コンテストはテーマが自由な点が魅力です。自分が伝えたいことを自由に話すことができるんです。それに対し、他のコンテストはたいていテーマが決まっているので、そのテーマに合わせて話さなければなりません。それゆえ、城西大学のコンテストは以前から気になっていました。ただ、昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止になってしまったんです。

 

――それで今年度チャレンジしたのですね。初のオンライン開催だったようですが、いかがでしたか?

 

「オンラインではなく、対面での開催だったら、もっと表現できたはず・・・」という思いはあります。オンラインの画面上だと、聴衆はビデオOFFで反応がよくわかりません。でも終わった後に「涙が出た」等の感想をもらうことができ、手ごたえを感じることはできました。


 

第10回城西大学英語スピーチコンテスト(ZOOM)での発表の様子


――最優秀賞を受賞してもなお、もっと表現したかったということは、柳さんは他者に「伝えたい」という思いが強いのではないかと思います。ご自身ではどのように思われますか?

 

魅せたい!」という気持ちがあります。小さい頃から自分を表現することが好きで、絵画や書道が好きでした。今でも好きです。自分を表現するのに、非言語のコミュニケーションが楽というのがあります。より自分を表現できるんです。

 

――だから目線・抑揚・表情を駆使することのできる、スピーチコンテストを選ばれたのですね。対面だったら尚良かったというのも納得です。


英語も絵や書道と同様、英語でのプレゼンテーションは自分を表現するのに楽なんです。「英語だったらどういう風に表現できるかな?」と考えるのが好きです。それはテキストだけでなく、ジェスチャーも含めてです。だから内容(言語コミュニケーション)もさることながら、私にとってはジェスチャーなどの表現(非言語コミュニケーション)が重要になってきます。


――そうなると、どうやって英語を勉強するのですか?

 

「勉強」というより、英語はただのコミュニケーション手段に過ぎません。私にとっては、机で学習するものではないんです。

 

例えば、英語4技能の「書く(writing)」というスキルについては、小学校6年生から英語で日記をつけていました。もちろん帰国子女ではないので、単語を並べる程度ですが(笑)。今回のスピーチコンテストの内容は、18歳頃の経験を言語化したものです。その日記がベースになっています。

 

英語4技能の「聞く(listening)」スキルに関しては、洋楽から入っています。両親の影響で80年代、90年代の洋楽をよく聴いていました。英文法も洋楽で覚えたくらいです。中学時代は洋楽の文字起こしもしていました。そうやって何万回も聴くことで、リスニングのトレーニングになっていたようで、4技能の中でリスニングが一番得意です。英語はサウンドとして聴いているだけでも心地いいんです。

 

英語4技能の「話す(speaking)」スキルについては、昔からYouTubeチャンネルで米国のCMを観て真似をしていました。コマーシャルは尺が短いので、完全コピーしやすいんです。他にもラジオ、インタビュー、映画、アニメ等のセリフや言い回しを覚えて使うのが好きなので、あまり「勉強」しているつもりはありません。

 

また、英語に限らず、幼い頃から人の真似ばっかりしていたようです。誰かの模倣をするのに苦労したことはありません。英語もネイティブの真似をするからか、自然と声が低くなるようです。

 

――何事も真似や模倣から始まりますよね。模倣できること自体が、柳さんの素晴らしい資質です。ただ「自分を表現したい」とも仰っていたので、それは個性や自分らしさとも考えられます。柳さんにとって、模倣と自己表現とはどういう関係なのでしょうか?

 

自分らしさというものはないし、あえてつくるつもりもありません。個性、自分らしさ、自信がうまく養われなかったと思っています。反面、そこを補いたいという思いから真似をし、ある種の「型」が身についたと思います。今はそれが身体知化されたので、型を破る段階かもしれません。「守破離」のように。

 

――伝えたいことや表現したいことは「自分らしさ」ではないという点を、もう少し詳しく教えて頂いていいですか?

 

私自身ではなく、私がもっているもの(経験、感じ方・考え方)をみてほしいと思っています。それは文字情報でも表現できるのかもしれませんが、テキストだけでなくコンテキストも汲み取ってほしいと思っています。行間から相手に伝わる部分もあるでしょうが、私は非言語コミュニケーションも駆使して表現したいので、スピーチコンテストのような場が最適なのです。

 

――このインタビューでも柳さんの思いは伝わってきました。最後に、今後の抱負を教えてください。

 

まず、今年は別のスピーチコンテストにも挑戦したいと思っています。城西大学のスピーチコンテストでも、他の学生の論理構成などが非常に勉強になったので、刺激を受けるためにも応募したいと考えています。

 

それから現在は就職活動中なのですが、何か形になる、商品化できるもので「表現」をしていきたいと思っています。何を媒体にして伝えるかが目下の課題です。

 

――就職活動でお忙しい中、ありがとうございました。

 

小学生の頃から英語で日記を書いていたり、中学時代から洋楽の文字起こしをしたりしていたというエピソードが印象的でした。「好きこそ物の上手なれ」ですね。

 

柳さんの最優秀賞受賞を報じた本学公式サイトはこちら

10回城西大学英語スピーチコンテストについてはこちら

2022年度入学式での学長賞授与についてはこちら

コメント