私たちに身近な学問「経済学」の魅力ーー高﨑春華准教授

  今日は国際経済学、特にEU経済を専門としていらっしゃる高﨑春華先生にお話を伺います。日本でもG7が広島で開催され、主要七か国に加えて、EUの大統領とEU委員長も来日されていましたが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにEU経済にも大きな影響があったと思います。今日は高﨑先生に国際経済学やEU経済についてお伺いし、最後に先生が大学内の学生を主導して展開している「コーヒープロジェクト」の取り組みと意義についてお話しいただきます。

 


本学の図書館前で高﨑春華准教授


―先生が国際経済学、EU経済に興味をもたれたきっかけはどのようなことだったのでしょうか? 

 経済学にもいろんな分野がある中で、私はEU経済論を中心に研究をしています。大学に入ったとき、最初は法律家がかっこいいなと思って履修した授業があまりにもつまらなくて、「やりたいことがなくなった・・・」と呆然としたときに出会ったのが経済学でした。ちょうど大学に入学したとき、ユーロが流通し始めて、アメリカに匹敵する大きな経済圏がヨーロッパに出来た瞬間に居合わせたことにすごくロマンを感じました。

 

―たしかにそれまでは、ヨーロッパというと、たとえばフランス・ドイツ・イタリアというように言語や文化、通貨も異なり、それぞれが個性ある国として存在感をもっていたので、ユーロという通貨で統一されることや、経済圏として統合されると何がどう変わっていくのだろう…と興味深くニュースを見ていた記憶があります。

高校にはない経済学という科目には難しそうなイメージがあるのですが、経済を学ぶ面白さはどのようなことでしょうか?

 経済学そのものというより、経済の視点から世界をみることで、みなさん一人ひとりの生き方自体が面白くなるんじゃないかと思っています。たとえば「おしゃれなパリ」がもつイメージは、フランスのパリとしてみるか、世界の中のパリとしてみるかで大きく変わってきます。国際的な多くのファッションブランドが何故パリから次々と生まれていくのか経済の視点が教えてくれます。また、なぜヨーロッパでは気候変動に関する議論が盛り上がっているのか、環境税って何のためにあるのか・・・経済学は私達の生活の見方を変えてくれる身近な学問でもあります。

 

―たしかに経済活動は社会や人々の暮らしから切っても切り離せない営みであるにもかかわらず、多くの人が経済の視点から社会や日々の生活を考えるということをしていませんね。視点を変えるだけで、理解が広がる気がします。

EUにはさまざまな国が加盟していますが、それぞれ文化も社会も経済的状況も異なる国々にとって、つながることのメリットはどのようなことでしょうか?

 EUの各加盟国は、日本と比べると経済規模が小さいし、面積も小さい・・・実は小国の集まりだったりします。ヨーロッパの中の一国だけでは、アメリカや中国に経済的にも対抗できないことから、EU加盟国が結束を高めて一緒に成長してきました。つながることで、ヒト(労働者)・モノ(商品)・カネ(文字通りお金!)・サービスが自由に移動できるようになりました。それによって、フランスにいる大学生はドイツの大学に簡単な手続きで入学できたり、EU域内を旅行する時にはパスポートのチェックが不要になったり(もちろん日本人も)して、EUの市民の生活レベルも向上しました。専門用語で言うと、ヨーロッパでは「経済統合」が進んだと説明することができます。つまり、経済活動にかかってくる様々なコストが下がって、企業も消費者も利益を得ることができるようになるってことです。第二次世界大戦のときのように、ドイツとフランスがいがみ合っているときよりも、平和を維持して経済的メリット(利益)を加盟国全て(EU市民)が享受していく仕組みを作ったのは本当にすごいことだと思います!

 

―本当にEU統合は、単に利便性や自由度が増しだだけでなく、ヨーロッパ経済を強固なものにするための革新的な経済統合だったのですね。そしてそれがEU域内の平和維持につながっていることは意味深いです。

高﨑先生先生が主導して展開している、学生主体の「コーヒープロジェクト」は、オープンキャンパスに来る高校生や保護者の方々からも注目を集めています。英和のコーヒープロジェクトの意義や魅力を教えてください。

 せっかく大学にはいったのに、やりたい事が見つからない・・・楽しいことしたいのに・・・と悩む学生がいます。

 例えば、自分の興味がある学内プロジェクトに、とりあえず参加することが「楽しさ」の始まりだと思っています。英和は学生と先生や職員さんの距離が近く、お互いにフラットな関係の中で一つの目的を共有して成果を出すことを経験できます。私はコーヒープロジェクトに関わっていますが、単に仲間が出来るだけではなく、身近な「一杯のコーヒー」からでもSDGsに貢献できると「実感」することがキャンパスライフ充実への一歩になるんだと思います。美味しいコーヒーを通じて、学問を深めることもできるし、社会についても学ぶことができるってワクワクしますよ!

 

―コーヒープロジェクトに参加している学生さんたちを見ると、とても楽しそうにチャリティ活動を行っていますよね!またその活動を通して、学年を問わず仲間ができて、アイデアを出し合いながらプロジェクトを進めている、さらに地球規模の課題について学ぶこともできます!まさに大学生活を充実させてくれる素晴らしい活動ですね!


―最後にこれから大学生になる人たちと現役大学生にメッセージをお願いします。

 今は自分に確信が持てなくても、いろいろな学びの機会を大事にしていくことで得られる、ふつふつと湧いてくる「根拠のない自信」や「インスピレーション」を大切にしてください。いつでもどうすれば「自分がハッピーになれるか」に貪欲になってください。彼氏のハッピーより自分のハッピーを優先させよう()

無理やり意識高い系になる必要はなくて、キャンパスでたくさん笑って、たくさん失敗して、「やりたいことをやってみよう!」っていう、ゆるフワな軽いノリで頑張る感じで大丈夫です!あなたが選んだ「学びの場」こそが自分を一番成長させてくれます!

 

高﨑春華先生は、618日のオープンキャンパス(国際・留学DAY)の特別プログラムで「一杯のコーヒーから考えるSDGs」でご講演されます!

618日オープンキャンパスはこちら

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