英和には居場所(トポス)がある!ーー国際社会学科4年 佐藤夏菜子さん

2023年度入学式で学長賞を受賞した後の喜びの様子

 

2022年度よりかえで給費奨学生*に選ばれ、「第22回全国障害者スポーツ大会(いちご一会とちぎ大会)」にて50m・スラロームの2つの種目で1位という文武両道の活躍が評価され、学長賞*も受賞した佐藤夏菜子さん。スーパー女子大生のように見えますが、オンライン授業によって自分の苦手な部分があぶり出されたといいます。2020年度に入学した佐藤さんは新型コロナウィルス感染拡大の影響により、入学式もなく、慣れないオンライン授業で科目を履修していくことになります。突然の災難ともいえる状況下、佐藤さんがどのように学生生活を軌道に乗せていったかに迫ります。

*かえで給費奨学生:12年次の成績優秀者で、人物的に優れ、学内の課外活動などに積極的に参加している学生を対象に選考します。採用されると年額24万円が支給されます。返還は、不要です。

*学長賞:学生の課外活動の奨励と向上を目的に1995年に設けられ、課外活動(学生自治会、クラブ活動、ボランティアなど)において特に優秀な成果をあげた個人または団体に、入学式および卒業式に学長より表彰しています。

 

22回全国障害者スポーツ大会にて

 

――卒業礼拝、そして入学式での歌唱、お疲れ様でした。聖歌隊としての活動はいかがですか?

 

ありがとうございます。クリスマス礼拝の時、急遽聖歌隊が参加できないことになってしまったので、卒業礼拝を楽しみにしていました。皆さんの前で歌唱を披露する場があることの有難みを感じています。

 

卒業礼拝での聖歌隊(パイプオルガンとともに)

 

――クリスマス礼拝は本当に残念でした。佐藤さんはいつ聖歌隊に入ったのですか?

 

大学2年次からです。入学時は大学に行くことさえ叶わなかったので、部活動には入っていませんでした。

 

――聖歌隊に入ろうと思ったのはなぜですか?

 

2020年度は1年間ほぼオンライン授業で、友達ができなかったんです。1年次が終わる時、「友達ができないで終わってしまった。大学に居場所を作らなければ・・・」と思ったのがきっかけです。それで2年次からも入部でき、車いすでもできる聖歌隊に入ることにしました。

 

――なるほど。居場所をつくるために部活動に入ることを決めたのですね。実際入部してみて、聖歌隊は居場所になりましたか?

 

大学の中の居場所になっています。部活に入れば自然と友達ができます。先輩・後輩とも関係ができます。友達づくりに困っていたり、大学に居場所が見つからない人は、部活動に入ったらいいと思います。

 

卒業礼拝の聖歌隊@チャペル

 

――説得力がありますね。是非、新入生勧誘の際にもそのようにお声がけ頂けたらと思います。他に大学内で居場所がありますか?

 

ゼミも私の居場所です。

 

――ゼミの先生はどなたですか?

 

桜井愛子先生です。防災について学んでいます。

 

――桜井先生のゼミを選んだ理由を教えてください。

 

防災ってマニアックだと思ったんです(笑)。高校までに学んだことのないテーマを研究してみたいと思い、桜井ゼミを選びました。

 

桜井愛子先生とゼミ生

 

――確かに、大学でも防災について研究できるところは少ないと思います(笑)。実際、防災に関して学んでみていかがでしたか?

 

非常にためになっています。そもそも東洋英和を選んだ理由も、最悪自力(車いす)で往復できるという点だったんです。また都心のキャンパスはラッシュ等があり、難しいと思っていました。災害等の不測の事態が起きた時、公共交通機関を使わず、自宅まで帰れるかどうかは重要です。

 

――入学前から災害時のことを考えていたのですね。リスク・マネジメントができていて立派です。そこまで考えて大学選びをしたにもかかわらず、新型コロナウィルス感染拡大によってオンライン授業になってしまったのですね。

 

そうなんです。通学不要になってしまいました。さすがにオンライン授業は想定していませんでした。

 

――通学しなくていいというのは、佐藤さんにとってメリットだったのでしょうか?

 

いえ、むしろ自分の苦手な部分があぶり出されました。オンライン授業では、高校の授業と違って、板書がありません。先生が黒板に書く時間というのがなくなると、授業中の情報量が格段に増えるんです。もしも90分動画だった場合、情報量が多すぎて処理しきれないというのが正直なところです。

 

――そう言われればそうですね。特にこの間まで高校生だった人にとっては、大きな変化ですね。でも、オンデマンド授業(動画配信)であれば、繰り返し視聴することも可能ですよね。よくわからなければ、わからない箇所を何回も確認することができます。

 

そうすると、1コマ(90分)の授業に対して2時間以上かかってしまいます。ちゃんと理解しようと思うと倍くらいの時間がかかります。そうなると、すべての科目をこなすことができなくなってしまうんです。

 

――教員としては「単位の実質化」*の観点から、そのくらい勉強してほしいと思って授業を設計しているわけですが、コロナ禍の1年生にとってはかなり負担だったということですね。

*単位の実質化:一単位の授業科目を(教室等での授業時間と予習・復習の時間をあわせて)四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成する。

 

友達がいなかったので、余計に辛かったのかもしれません。

 

――いろいろな苦難を乗り越えてきたんですね。2023年度は新型コロナウィルスも5類に移行しますから、様々な制限が解除されていくのではないでしょうか。あっという間に最終学年ですが、思い残すことなく卒業するためにやりたいことはありますか?

 

自分から声をかけるのは苦手なんですが、部活やゼミの仲間ともう少し親しくお付き合いしたいです。今からでももっと仲良くしたいと思っています。

 

それから聖歌隊の歌が歌える環境、歌を披露できる場がほしいです。コロナ禍では、声出しNGかつ人前で歌えず、予め撮影した映像だけだったり、急遽参加が取りやめになったりしました。聖歌隊は4年生でも引退せず、活動を継続する人もいるので、私もできるだけ歌いたいと思っています。

 

――聖歌隊への強い思いを感じました。だから「居場所」なんですね。

 

聖歌隊に入って本当に良かったです。新入生にも是非入ってほしいと思います。

 

――最後に、聖歌隊の練習風景をお届けします。益々のご活躍を!


現在、就職活動が佳境に入っている佐藤さんですが、きっと社会人になっても活躍の場を広げていくことでしょう。卒業後も、英和(母校)は英和生にとってトポス(ギリシャ語で「場所」)です。同じ時間を共有した学友との思い出とともに、ここをよりどころとして、いつでも戻って来られる場所でもあります。

尚、2022年度学長賞授与式については大学公式サイトでも採り上げています。

2022年度卒業礼拝についてはこちら

東洋英和女学院大学聖歌隊のTwitterはこちら

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